FIの2段構えという設計
私は現在38歳。NDT検査の現場で20年働いてきた個人事業主+法人代表です。
最近「FIは逃げじゃない」という記事で「呼ばれて行ける自分を作る経済基盤」という話を書きましたが、今回はその具体的な設計図を公開します。
私のFI計画は2段構えです。
- 43歳(5年後): サイドFIRE — 配当+副業で生活費の一部をカバー、本業は選んで受ける状態
- 50歳(12年後): 配当所得を軸に「呼ばれた現場のみ受ける」働き方へ移行
完全リタイア・完全FIREではありません。最前線で「呼ばれて行ける自分」を維持します。
なぜこの設計なのか。どうやって12年で配当所得を育てるのか。完全リタイアしない理由は何なのか。順を追って書きます。
なぜ50歳なのか:体力・技術・市場価値のピーク
NDT検査は体力と技術の両立が求められる仕事です。
装置内部の狭い空間に入る。足場を組んで高所作業をする。暑い・寒い・暗い・狭いが当たり前。体力がなければ続きません。
同時に、減肉パターンの読み方・溶接部の評価・補修計画の立案といった技術的判断も求められます。これは経験の積み重ねでしか身につかない。
私は38歳。あと12年で50歳。
体力的にはまだ現場に入れる。技術的にはピークに近づいている。市場価値も高い。
この状態で「呼ばれて行ける自分」を維持しつつ、経済的には配当所得で支えられる構造を作る。これが50歳ゴールの意味です。
『LIFE SHIFT』(リンダ・グラットン)の「マルチステージ人生」という概念が、この設計の支柱になっています。従来の「教育→仕事→引退」の3ステージではなく、複数の役割を行き来する人生設計。NDT検査員・経営者・投資家・家族という役割を同時並行で持ち続ける。完全リタイアしないのは、この「役割の維持」が目的です。
43歳サイドFIREの意味:選択権を手に入れる
50歳までの中間地点として、43歳サイドFIREを設定しています。
サイドFIREとは、完全に仕事を辞めるのではなく、配当+副業で生活費の一部をカバーし、本業は選んで受ける状態です。
現在の働き方はこうです:
- 繁忙期(春3〜5月・秋9〜11月)は定修案件で出張メイン
- 閑散期は事務作業・営業・勉強
- 案件は基本的に「来たものを受ける」スタイル
43歳時点で目指すのは、この「来たものを受ける」から**「選んで受ける」への転換**です。
配当所得が生活費の一部を賄えるようになれば、単価が低い案件・条件が悪い案件・家族イベントと衝突する案件は断れます。
これは「働かない自由」ではなく、「選ぶ自由」です。
配当所得を育てる12年スパン
50歳時点で「配当所得を軸にした働き方」を実現するには、どのくらいの配当が必要なのか。
私の生活費は、家族3人(子供あり)で月あたり一定水準。これを全額配当で賄うわけではありません。配当で7〜8割をカバーし、残りは「呼ばれて行く案件」で補う設計です。
この水準を達成するには、12年かけて配当所得を段階的に育てる必要があります。
具体的な戦略はこうです:
NISA・iDeCoの満額積立
現在、NISA・iDeCoともに運用中です。インデックス投資を軸に、月あたり一定額を積み立てています。
『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』(水瀬ケンイチ)の「ほったらかし投資」の原則に従い、市場の上下に一喜一憂せず、淡々と積み立てる。これが12年スパンの基礎です。
法人・個人事業の併営で資金を回す
私は株式会社US(法人)とUSサービス(個人事業)を併営しています。
法人からの役員報酬は月あたり最低基準に抑え、社会保険の枠を維持。個人事業側の所得を投資資金に回す。この構造が、税務上も資金繰り上も効率的です。
副業・事業拡大の収益を投資に回す
Claude Codeでサイトを作り、アフィリエイトを運用し、スモールM&Aを視野に入れる。これらの収益は生活費に使わず、投資に回します。
『ビジョナリー・カンパニーZERO』(ジム・コリンズ)の「20マイル行進」という概念が参考になっています。無理な成長を追わず、着実に一定ペースで前進する。12年スパンで見れば、この「着実さ」が複利と組み合わさって大きな差になります。
完全リタイアしない理由:恐れの転換
50歳で「呼ばれて行ける働き方」に移行する。これは完全リタイアではありません。
なぜ完全に仕事を辞めないのか。
理由は恐れの転換にあります。
38歳の現在、私が恐れているのは「収入の断絶」です。案件が来なくなったらどうするのか。家族を養えなくなったらどうするのか。この恐れが、働き方を縛っています。
50歳時点で配当所得が充実すれば、この恐れは消えます。代わりに別の恐れが生まれます。
**「社会からの断絶」**です。
誰にも呼ばれなくなったらどうするのか。必要とされなくなったらどうするのか。技術が錆びついたらどうするのか。
この恐れを回避するために、「呼ばれて行く」働き方を維持します。
年1〜2回、信頼と実績ある取引先から声がかかったら行く。家族イベント最優先、単価はこちらの言い値、頻度は厳選。
これは金稼ぎのためではなく、社会接続維持装置としての働き方です。
『DIE WITH ZERO』(ビル・パーキンス)の「人生の配当」という概念が、この考え方の裏返しになっています。金を使い切る設計と同時に、経験・関係性・役割も使い切る設計。完全リタイアは「役割を捨てる」ことになるため、私には合いません。
38歳からの12年:逆算で動く
50歳ゴールから逆算すると、38歳の今やるべきことが見えてきます。
- 43歳までの5年: NISA・iDeCoを満額積立、個人事業+法人の併営を最適化、副業収益を投資に回す
- 43歳〜50歳の7年: サイドFIRE状態で「選んで受ける」働き方に移行、配当所得をさらに積み上げる
- 50歳以降: 配当所得を軸に「呼ばれて行く」働き方へ。完全リタイアはしない
これは計画であり、目標です。達成したわけではありません。
ただ、38歳の今、12年後の自分を具体的にイメージして動いている。この「逆算」が、日々の選択を変えています。
案件を選ぶとき、副業を始めるとき、家族との時間を優先するとき。すべて「50歳の自分」から逆算して判断しています。
まとめ:12年スパンで配当を育てる
- 50歳ゴールは「配当所得を軸に呼ばれて行く働き方」への移行(完全リタイアではない)
- 43歳サイドFIREは「選ぶ自由」を手に入れる中間地点
- 配当所得を育てる戦略はNISA・iDeCo満額積立+法人・個人事業併営+副業収益の投資転換
- 完全リタイアしない理由は「社会接続維持」— 恐れは「収入断絶」から「社会断絶」へ転換する
- 38歳から12年、逆算で動く
これが私のFI設計図です。
関連書籍
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『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)——100年時代の人生戦略』リンダ・グラットン, アンドリュー・スコット
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『ビジョナリー・カンパニーZERO——ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる』ジム・コリンズ, ビル・ラジアー
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『DIE WITH ZERO——人生が豊かになりすぎる究極のルール』ビル・パーキンス
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参考
- 金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」 https://www.fsa.go.jp/
- 中小企業庁「中小企業・小規模事業者の資金繰り支援」 [出典URL要確認]