『エッセンシャル思考』を読んだ背景:選択を正当化する枠組みが欲しかった
グレッグ・マキューンの『エッセンシャル思考』を手に取ったのは、NDT検査の繁忙期と家族時間の板挟みで判断軸がブレていた時期だった。INTJ気質として「全部やる」より「選んでやる」方が自然なのに、現場の慣習や取引先の期待で「断れない」状況が続いていた。
この本の核心は「より少なく、しかしより良く(Less but better)」。すべてに手を出すのではなく、本質的なものだけに集中する。読後、自分の判断軸を3段階で言語化し、実務に組み込んだ。その設計を記録する。
第1段階:案件の断り基準を明文化した
最初に実装したのは「受けない案件の基準」の明文化だった。これまで曖昧だった「なんとなく断る」を、言語化して判断を自動化した。
基準は3つ:
- 工数単価が基準を下回る案件:市場相場を下回る見積もりは原則断る。値下げ交渉には応じない
- 不当な扱いを受ける可能性がある構造:発注側が「教える立場」「評価する立場」を取る案件は受けない。対等構造でない限り断る
- 家族イベントと衝突する案件:保育園の行事・誕生日・連休の予定が確定している時期は、どんな高単価でも断る
この基準を顧問税理士と共有し、見積書のテンプレートに「基準外案件はお断りすることがあります」と明記した。結果、案件選択の精度が上がり、受けた案件での集中度も上がった。
第2段階:時間配分の仕組みを設計した
次に実装したのは「時間配分の仕組み」。エッセンシャル思考では「スケジュールに余白を作る」ことが強調されているが、NDT検査の繁忙期は物理的に余白が作れない。そこで「繁忙期と閑散期で時間配分を切り替える」設計にした。
繁忙期(3〜5月・9〜11月):
- NDT検査に8割の時間を割く
- 家族時間は朝・夕の短時間に集中
- 副業・資産運用・発信は最低限のルーチンのみ
閑散期(6〜8月・12〜2月):
- NDT検査は受けない(呼ばれても断る)
- 家族時間を最優先(旅行・イベント・保育園送迎)
- 副業・資産運用・発信に時間を割く
この切り替えを取引先にも伝え、「閑散期は受注しない」ことを明示した。最初は「機会損失では?」と言われたが、繁忙期の集中度が上がり、結果的に年間の収益は変わらなかった。
第3段階:家族優先ラインを設計した
最後に実装したのは「家族優先ライン」。これはエッセンシャル思考の「トレードオフを受け入れる」章から得た示唆だ。
私は「子供から尊敬される存在で居続ける」ことを最優先にしている。ただし時間量ではなく在り方の質が重要だと考えている。そこで以下のラインを引いた:
- 保育園の行事は全参加:運動会・発表会・参観日は仕事より優先
- 誕生日・記念日は仕事を入れない:子供・配偶者の誕生日、結婚記念日は案件を断る
- 平日夕方は家族時間:18時以降は家にいる。出張中は除く
このラインを守るため、案件受注時に「この期間は受けられません」と明示するようにした。結果、家族との時間の質が上がり、子供との関係も安定した。
まとめ:選択と集中は判断軸の明文化から始まる
『エッセンシャル思考』を読んで実装した3段階の設計は、すべて「判断軸の明文化」に帰着する。
- 案件の断り基準を明文化する
- 時間配分の仕組みを設計する
- 家族優先ラインを設計する
INTJ気質として「選択と集中」は自然だが、その判断軸を言語化して共有しなければ、周囲の期待とのズレが生じる。明文化して初めて、「より少なく、しかしより良く」が実装できる。
38歳の現在地として、この設計は50歳までの12年間の土台になる。選択の精度を上げ、集中の質を高め、家族との時間を守る。その繰り返しが、自分の人生を自分で設計することに繋がる。