JSNDI UT Level 2 を38歳で受験して分かった『1次試験合格後の2次対策』3段階:実技課題・計算問題・報告書作成の実務設計

JSNDI UT Level 2 — 1次合格後に見えた2次試験の構造

JSNDI(日本非破壊検査協会)のUT(超音波探傷試験)Level 2資格。私は2026年に1次試験(筆記)を突破し、現在2次試験(実技・計算・報告書)の準備を進めている。

38歳・NDT検査歴20年の立場で受験して気づいたのは、現場経験が長いほど「実務と試験のズレ」に戸惑うという事実だった。

現場では「この減肉パターンなら次回要注意」「音が変わったから内部に何かある」といった経験則で動いている。だが試験ではJIS規格の条文解釈・計算式の適用・報告書の様式準拠が問われる。

本記事では、1次合格後に直面した2次試験対策の3段階(実技課題・計算問題・報告書作成)を、実務との対比で整理する。


第1段階:実技課題 — 現場の手順を「JIS準拠」に翻訳する作業

2次試験の実技パートでは、試験片に対して規格通りの手順で探傷を実施し、結果を正確に記録することが求められる。

現場では「この装置ならこの設定」「この材質ならこのプローブ」といった暗黙知で動いている。だが試験ではJIS Z 2344(鋼溶接部の超音波探傷試験方法)に則った手順を明示的に実行しなければならない。

私が実技対策で意識したのは次の3点:

  1. 探傷範囲の設定根拠を言語化する:現場では「このへん怪しい」で済ませているが、試験では「溶接線から○○mm以内」「母材側○○mm含む」と数値で示す
  2. プローブの選定理由を規格から引く:「いつも使ってるから」ではなく「板厚○○mmに対し周波数○MHz・屈折角○°を選定した理由」を説明できるようにする
  3. 感度補正の計算を省略しない:現場では装置のプリセット機能で済ませがちだが、試験ではdB計算・距離振幅特性曲線(DAC)の作図を手計算で求められる

実務経験者ほど「こんなの現場でやらない」と感じる項目が多いが、試験は規格解釈能力を問うていると割り切った。


第2段階:計算問題 — 公式の暗記より「何を求めているか」の読解

2次試験では音速・屈折角・ビーム路程・きず深さなどの計算問題が出る。

現場では装置が自動計算してくれるため、公式を覚えていなくても実務は回る。だが試験ではSnellの法則・三角関数・ビーム路程の幾何計算を手で解く。

私が対策で重視したのは「公式の暗記」より「問題文が何を求めているかの読解」だった。

例えば「板厚20mm・屈折角70°のプローブで表面から15mmの深さにきずがある場合のビーム路程を求めよ」という問題。

  • 現場脳:「装置に出てる数字を見ればいい」
  • 試験脳:「板厚・屈折角・きず深さから三角関数でビーム路程を逆算する」

この切り替えができないと、計算問題で時間を浪費する。

私は『非破壊検査総論』(JSNDI公式テキスト)の例題を繰り返し解き、**「問われているのは何か」→「使う公式はどれか」→「単位は合っているか」**の3段チェックを習慣化した。

計算ミスを防ぐため、解答用紙に途中式をすべて書く練習も重要だった。


第3段階:報告書作成 — 「現場メモ」と「JIS準拠報告書」の違いを理解する

2次試験の最難関が報告書作成だと感じている。

現場では「○○部に減肉あり・次回要注意」「異常なし」程度のメモで済むが、試験ではJIS Z 2305(非破壊試験技術者の資格及び認証)が求める様式に従った報告書を書かなければならない。

報告書で問われるのは次の5項目:

  1. 試験条件の記録:装置型番・プローブ仕様・探傷感度・対比試験片の情報をすべて明記
  2. きずの位置・寸法・種類の特定:「なんとなく減肉」ではなく「溶接線から○○mm・深さ○○mm・長さ○○mm・ブローホールと判定」と数値で示す
  3. 合否判定の根拠:適用規格(JIS Z 3060など)の条文番号を引いて「この寸法ならクラス○○で合格」と明示
  4. 探傷手順の再現性:第三者が同じ結果を得られるよう、探傷範囲・走査方法・感度設定を具体的に書く
  5. 署名・日付・資格番号:報告書の責任主体を明確にする

現場では「誰が見てもわかる」メモで済むが、試験では規格準拠+第三者再現性が評価基準になる。

私は過去問の報告書例を模写し、どの項目がどのJIS条文に対応しているかを逆引きする訓練をした。


実務経験20年でも「試験対策」は別スキル — 規格を読む習慣が鍵

JSNDI UT Level 2の2次試験対策を通じて痛感したのは、実務経験と試験合格は別のスキルということだった。

現場では「きずを見つける」「安全に作業する」「納期を守る」が評価軸だが、試験では「規格を正しく解釈し適用できるか」が問われる。

経験則で動ける現場技術者ほど、規格条文を「読み飛ばして」きた自覚がある。私も『非破壊検査総論』を読み直して、「こんな細かい規定があったのか」と驚いた箇所が多かった。

2次試験の準備は、実務で無意識にやっていることを言語化し、規格の枠に当てはめる訓練だと理解している。

合格後は、この「規格準拠思考」を現場の報告書品質向上にも活かせると考えている。


まとめ:1次合格後の2次対策は「実務と試験のズレ」を埋める作業

JSNDI UT Level 2の2次試験対策を3段階で整理した:

  1. 実技課題:現場の手順をJIS準拠に翻訳する(探傷範囲・プローブ選定・感度補正の明示)
  2. 計算問題:公式暗記より「何を求めているか」の読解(三角関数・ビーム路程・単位チェック)
  3. 報告書作成:現場メモと規格準拠報告書の違いを理解する(試験条件・きず特定・合否根拠・再現性)

実務経験が長いほど「試験なんて形式的」と感じがちだが、規格準拠の報告書を書く能力は、現場での信頼構築にも直結する。

2次試験の準備を通じて、改めて規格を読む習慣の重要性を認識している。


関連書籍

本記事で参照したJSNDI公式テキストはこちら:

非破壊検査総論

JIS条文と実務解釈の対応づけが丁寧で、UT/VT/MT/PT横断で参照できる。報告書記述の根拠としても使っている。


参考

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