PCで話しかけたAIに外出先のスマホから続きを話せないのは純正同期の仕様
私はClaude Codeを業務で使っている。事務所のPCで「この帳票の見逃しパターンを整理して」と話しかけ、移動中にスマホで「その中で優先度が高い順に3つ挙げて」と続きを聞きたい場面が何度もあった。だが純正の同期機能は会話履歴を端末間で引き継がない。スマホで開くと新規会話が始まり、PCでの文脈は消える。
「できるはず」という期待で何度も試したが、結果は同じだった。ここで曖昧な期待を捨て、仕様を正確に把握した。Claude Codeの純正同期は「設定とプロジェクト構造の同期」であり、「会話履歴の端末間引き継ぎ」ではない。この限界を言い切ってから、会話要旨を自動転記する仕組みを自作した。
以下、端末をまたいで会話を続ける3段階設計を公開する。
第1段階:会話終了時に要旨を定型フォーマットで記録する
会話が一区切りついたら、要旨を定型フォーマットで記録する。私はこのフォーマットを「会話要旨メモ」と呼んでいる。内容は次の3項目のみ。
- 日時:会話を開始した日時(YYYY-MM-DD HH:MM形式)
- 背景:何を聞いたか(1行で書く)
- 結論:何が分かったか(箇条書き3〜5項目)
このメモをテキストファイルとして保存し、バージョン管理下に置く。ファイル名は conversation-YYYYMMDD-HHMM.md の形式で統一する。会話履歴そのものは保存しない。要旨だけを抽出する理由は、別端末で開いたときに「続きを把握する最小情報」だけあればよいからだ。
第2段階:バージョン管理経由で自動同期し別端末で即座に参照できる状態を作る
バージョン管理ツールを使い、会話要旨メモを自動同期する。私の場合、PCで会話を終えたら要旨メモを作業用リポジトリにコミットし、プッシュする。スマホ側では作業用リポジトリをプルすると、PC側で書いた要旨メモが即座に反映される。
ここで重要なのは「別端末で開くと即座に参照できる」という状態を作ることだ。スマホでAIアプリを開く前に、メモ置き場のディレクトリを開き、最新の要旨メモを確認する。この手順を習慣化すると、PC→スマホの文脈ギャップが消える。
純正同期に期待せず、バージョン管理という汎用ツールで代替した。この選択により、端末の種類(PC/スマホ/タブレット)や台数に依存しない仕組みができた。
第3段階:要旨を読んでから新規会話を開始する運用ルールを徹底する
仕組みを作っても、使わなければ意味がない。私は次の運用ルールを徹底している。
- PCで会話終了時:必ず要旨メモを書く。書かずに離席しない
- スマホで会話開始時:必ず最新の要旨メモを読む。読まずにAIアプリを開かない
- 要旨メモがない場合:新規テーマとして扱う。無理に続きを推測しない
このルールにより、「続き」が必要な会話と「新規」テーマの会話が明確に区別される。曖昧な期待で「さっきの続きなんだけど」と話しかけても、AIは文脈を持たない。要旨メモを読んでから「背景:○○ / 結論:△△ / 追加で聞きたいこと:□□」と整理して話しかけると、新規会話でも文脈が引き継がれる。
運用ルールを徹底したことで、端末間のギャップは実質ゼロになった。
ツールの限界を正確に言い切ってから代替を設計する
純正同期の限界を「会話履歴は端末間で引き継がれない」と言い切るまで、私は曖昧な期待で何度も失敗した。「できるはず」という期待が、仕様確認を遅らせた。
限界を正確に把握してから、代替設計は単純になった。会話要旨を定型フォーマットで記録し、バージョン管理で同期し、要旨を読んでから新規会話を開始する。この3段階で端末をまたぐ会話が可能になる。
純正機能に期待しすぎず、汎用ツールで代替する。この判断軸は、他のツールにも応用できる。「できる/できない」を正確に言い切ることが、実用的な仕組みを作る第一歩だ。
まとめ
私はPCで話しかけたAIに外出先のスマホから続きを話せる仕組みを自作した。純正同期の限界を正確に把握し、会話要旨を自動転記する3段階設計で端末間ギャップをゼロにした。
ツールの限界は「できる/できない」を正確に言い切ってから代替を設計する。曖昧な期待が事故を生む。この原則は、AI活用の実務でも変わらない。