サイト運営費を年3万→2千円に削った一人社長の内製化設計:固定費を1/15にする3段階の移行実録

サイト運営費が月2,500円かかっていた頃の固定費感覚

私は株式会社USと個人事業USサービスを併営している。法人サイト(urisol.com)と個人ペンネームのサイト(urinosuke.com)の2つを運営しているが、2024年まではどちらも有料ホスティングサービスに月額料金を払っていた。

当時の構成は次のとおり。

  • 法人サイト: 月額1,200円程度のレンタルサーバー(WordPress運用)
  • 個人サイト: 月額1,300円程度の別ホスティング(同じくWordPress)

合計で月2,500円、年間3万円。小規模な一人社長の事業規模としては「まあこんなものか」と思っていた。サイトからの収益は微々たるもので、年3万円の固定費は完全に赤字だが、名刺代わり・信用構築のコストとして受け入れていた。

ただ、この固定費には別の問題があった。

更新作業が面倒で放置気味だった。WordPressのプラグイン更新・セキュリティパッチ適用・バックアップ確認。やるべきことは分かっているが、本業の検査現場が繁忙期に入ると完全に後回しになる。気づいたら半年以上更新していない、という状態が続いていた。

定常コストが「金額」だけでなく「運用負荷」としても重くのしかかっていた。

静的サイト+エッジ配信への移行を決めた理由

2025年に入ってから、私はサイト構成を根本的に見直した。きっかけは2つある。

1つ目はClaude Codeの登場。AIとの対話でコードを書く環境が整ったことで、「自分で構築・運用する」ハードルが大きく下がった。WordPressのようなCMSに頼らなくても、静的サイトジェネレーター(Astro)とGitHub、Cloudflare Pagesを組み合わせれば、ほぼゼロ円で運用できる。

2つ目は固定費削減の必然性。法人を作ってから、社会保険料・税理士報酬・小規模企業共済などの固定費が増えた。役員報酬は月5万円に抑えているが、それでも年間の固定費総額は個人事業時代の3倍近い。「削れる固定費は削る」という意識が強まっていた。

この2つが重なって、サイト運営費を内製化する決断をした。

具体的には次の構成に移行した。

  • 静的サイトジェネレーター: Astro(Markdown + React/Vue等を統合できるフレームワーク)
  • ホスティング: Cloudflare Pages(無料枠で月100万PV対応、ビルド時間も無料枠内で十分)
  • ドメイン: 既存ドメインをCloudflareのDNS管理下に移行(ドメイン更新費のみ年1,500円程度)
  • デプロイ: GitHub ActionsでMarkdown投稿を自動化(Anthropic APIを使った記事生成も統合)

これで月額料金がゼロになった。年間コストはドメイン更新費2件分のみ、約2千円弱。年3万円が2千円になった

削減額は年間約2.8万円。一人社長の事業規模では「たかが3万円」ではない。小規模企業共済の掛金1ヶ月分に相当する。

旧サイトのコンテンツをどう延命させたか

移行時の課題は旧サイトのURL資産をどう扱うかだった。

法人サイト・個人サイトともに、過去数年分の記事が旧ドメイン・旧パス構造で検索エンジンにインデックスされている。これを捨てると、せっかく積み上げた検索流入がゼロに戻る。

私が採った方法は次の3段階。

1. 旧ドメインは残し、CloudflareのリダイレクトルールでURL転送

旧ホスティング契約は解約したが、ドメイン自体は保持した。Cloudflareの無料プランでリダイレクトルールを設定し、旧URLへのアクセスを新サイトの対応ページへ301リダイレクトする。

例:

[出典URL要確認]
→ https://urisol.com/posts/post-title-slug

これで検索エンジンの評価を引き継ぎつつ、旧サイトのコンテンツ管理から解放された。

2. 新サイトは静的ファイルのみで完結させる

WordPress時代はデータベース・PHPランタイム・プラグイン群が動いていたが、新構成ではビルド時にHTMLを生成し、それをエッジ配信する。サーバーサイドの処理はゼロ。

これにより次のメリットが得られた。

  • セキュリティ更新の頻度が激減: プラグインもランタイムも存在しないため、脆弱性対応の作業がほぼなくなった
  • ページ表示速度が劇的に向上: エッジキャッシュからHTMLを直接配信するため、WordPressのデータベースクエリ待ちが消えた
  • バックアップが不要: GitHubリポジトリ自体がバージョン管理されたバックアップになる

3. 記事投稿を自動化し、運用負荷をさらに削減

AstroのContent Collections機能を使い、Markdownファイルを所定のディレクトリに置くだけで記事が公開される仕組みを作った。さらにGitHub Actionsで定時実行を組み、Anthropic API(Claude)を使った記事生成→コミット→自動デプロイまでを無人化した。

私がやることは次の2つだけ。

  • 記事のテーマリストをNotion DBで管理する(週1回程度のメンテナンス)
  • 生成された記事を事後確認し、必要があれば手動で修正する(任意)

投稿作業そのものから解放され、「更新しなければ」というプレッシャーも消えた。

内製化のコストとリターンをどう考えるか

内製化には初期投資がある。私の場合、次の時間をかけた。

  • Astroの学習・サイト構築: 約40時間(Claude Codeとの対話で短縮)
  • 旧サイトからのコンテンツ移行・リダイレクト設定: 約10時間
  • GitHub Actions + Anthropic API統合: 約20時間

合計70時間。仮に自分の工数を日給3万円で換算すると、約30万円相当の初期投資になる。

ただし、この投資は年2.8万円のコスト削減を永続的にもたらす。単純計算で10年運用すれば28万円の削減、元が取れる。さらに運用負荷の削減(セキュリティ更新・バックアップ作業からの解放)を時間で換算すれば、実質的なリターンはもっと大きい。

一人社長・小規模事業主にとって、定常コストの内製化は次の理由で効く。

  1. 削減額が小さくても効き続ける: 年3万円でも10年で30万円。事業が続く限り効果が累積する
  2. 運用負荷が減ると本業に集中できる: WordPress更新のストレスから解放され、検査現場に集中できる時間が増えた
  3. 技術的な主導権を取り戻せる: 「ホスティング会社の仕様変更に振り回される」状態から脱却し、自分で判断できる構成になった

逆に、次のようなケースでは内製化は向かない。

  • 初期投資の時間を確保できない(本業が忙しすぎる)
  • 技術的な学習コストを払いたくない(外注で解決したい)
  • サイトの収益が既に大きく、月額料金が誤差の範囲(年商1,000万円以上の事業など)

私の場合、法人・個人事業の両サイトとも収益はほぼゼロで、固定費削減の優先度が高かった。さらにClaude Codeという学習コストを下げるツールがあった。この2つが揃ったタイミングで内製化に踏み切った。

まとめ: 定常コストは一度内製化すると効き続ける

有料ホスティング2契約を静的サイト+エッジ配信に移行し、年間3万円の運営費を2千円弱に削減した。削減額は小規模企業共済の掛金1ヶ月分に相当する。

内製化の初期投資(約70時間)は、年2.8万円の削減を永続的にもたらす。10年運用すれば元が取れる計算だが、運用負荷の削減(セキュリティ更新・バックアップ作業からの解放)を時間で換算すれば、実質的なリターンはもっと大きい。

小規模事業ほど、定常コストの内製化リターンが大きい。削減額が小さくても、事業が続く限り効果が累積する。

一人社長・個人事業主が固定費を見直すとき、「月額料金をゼロにできないか」という視点で見直す価値はある。特にサイト運営・SaaS契約・定期購読サービスは、内製化や代替サービスへの移行で大きく削減できる領域だ。

私は今後も、定常コストを見つけたら「これは内製化できないか」と問い続ける。

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まとめて読む: 個人事業と法人の併営

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