発信を「実体験だけ」に縛ったら差別化になった話:速く量産できる時代に信頼を積む3原則

読んだふりの書評は、本人が読んだら一発でバレる

私は urinosuke.com で週3回記事を公開している。記事の土台になるのは「事実台帳」と呼んでいるファイルで、自分が実際に読んだ本、やった副業、経営している事業の実績だけを記録している。このファイルに載っていない書籍は、どれだけ有名でも記事では引用しない。

なぜそこまで縛るのか。理由は単純で、読んだふりの書評は、著者本人が読んだら一発でバレるからだ。要約サイトの情報を繋いだ文章には、実際に読んだ人間にしか出てこない「引っかかり」や「自分の文脈での解釈」がない。専門家が自分の領域で語る発信なら、なおさら嘘は通用しない。

発信の速度が上がった時代だからこそ、実体験という制約が差別化になる。今回は、私が実際に運用している発信の3原則を書く。

原則1: 発信は実体験のみ、未実施の実績は書かない

私の事業構造は、個人事業(USサービス)と法人(株式会社US)の併営だ。NDT検査の現場に20年、経営者としては数年の実績がある。この実績の範囲でしか、記事は書かない。

例えば「副業」テーマで書けるのは、実際にやった潜水士(水族館のプール清掃)と家電修理(Panasonic業務委託)の2つだけだ。どちらも継続していない。潜水士は案件数が少なく、家電修理は対面×故障対応×立場の低さ×感情労働が重なって忌避ラインを超えた。この「合わなかった理由」まで含めて書ける。

逆に書けないのは、やっていないことだ。「副業で月収30万円達成」「プラント水中作業で高単価案件を獲得」といった収益実績は、まだ私には存在しない。目標や計画として書くことはあるが、達成済みとして書くことは絶対にしない

実体験に縛ると記事の選択肢は狭まる。だが、その制約が「この人は本当にやっている」という信頼に変わる。速く量産できる時代だからこそ、実体験の希少性が上がっている。

原則2: 1記事1テーマ、マンネリは指摘される前に自分で潰す

発信を続けると、テーマが硬直する。私の場合、NDT検査の現場話とbiz(経営・税務)の記事が偏りやすい。実際、直近14本のカテゴリ集計では biz が8本、code が4本で、fi(資産形成)と life(働き方・哲学)が各1本だった。

この偏りを放置すると、読者にも自分にも飽きられる。だから週次でカテゴリ集計を見て、過少カテゴリを優先的にテーマ候補に上げる運用をしている。自動生成の仕組みも、この集計結果をプロンプトに渡して「今日はfiかlifeを優先」と指示する設計にしている。

1記事1テーマの原則も守る。NDT×経営×資産形成を1本に詰め込むと、どれも浅くなる。テーマを絞れば、そのテーマで検索した読者に刺さる記事になる。マンネリは指摘される前に自分で潰す。これが発信を続けるコツだ。

原則3: 対人ネタは出さない、構造で語る

発信で最もリスクが高いのは、特定の人物や企業を批判する文章だ。私は製油所で20年働いてきたが、固有の製油所名は記事に出さない。取引先の企業名も伏せる。書くのは「major Japanese refineries」「信用金庫」「取引先」といった抽象化した表現だ。

対人ネタを避ける代わりに、構造で語る。例えば副業選定の記事では、「BtoC/BtoB」という軸ではなく「対等構造か不当扱い構造か」という軸で書いた。家電修理が合わなかったのは、BtoCだからではなく「対面×故障対応×立場の低さ×感情労働」の重なりが原因だ。この構造を言語化すれば、誰を批判することもなく、読者が自分の状況に応用できる。

対人ネタで盛り上がる記事は書きやすいが、信頼を失うリスクも高い。構造で語る方が時間がかかるが、長く読まれる記事になる。

発信の信頼は、誠実さの積み上げでしか作れない

速く量産できる時代に、発信の差別化は「誠実さ」に集約される。実体験のみ、1記事1テーマ、対人ネタは出さない。この3原則を守れば、読んだふりの書評や未実施の実績を並べた発信と、明確に差がつく。

自動生成の仕組みを使っても、事実台帳に反しない範囲に閉じる設計にしている。技術で速度を上げても、嘘をつかない制約は外さない。この制約が、発信を続ける理由になっている。

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