潜水士免許を取って水族館のイルカプール清掃をBtoB案件として受けた実録:副業を「対等構造」で選ぶ3つの基準

潜水士免許を取ったきっかけ:NDT検査の延長線上にあった水中作業

私は石油・化学プラントのNDT検査を20年続けてきた。検査対象には冷却水系統や海水配管も含まれ、「水中の目視検査ができたら仕事の幅が広がる」という発想が常にあった。そこで潜水士免許を取得し、副業として水族館のイルカプール清掃を受注した経験がある。

この副業は現在継続していないが、「対等な関係で仕事を選ぶ」という軸を言語化するきっかけになった。同時期に始めた家電修理の副業(Panasonic業務委託)が半年で終了した理由と対照すると、副業選定の基準が浮き彫りになる。

本記事では、潜水士副業の実態と「なぜ対等構造が重要か」を実例ベースで整理する。

水族館のプール清掃という副業:BtoB・対等構造の実例

潜水士として受けたのは、水族館施設の維持管理会社からの依頼だった。イルカプールの底面・壁面の清掃と簡易点検が主な作業内容で、以下の特徴があった。

  • BtoB取引:発注元は施設管理会社。個人客ではなく、組織対組織の関係
  • 専門性が前提:潜水士免許・潜水経験が必須。スキルを持つ者が少ないため、対等な立場で単価交渉ができた
  • 感情労働が少ない:作業対象は設備。クレーム対応や接客は発生しない
  • 案件数が少ない:定期清掃の頻度が低く、年数回程度。安定収入にはならない

この副業は「対等構造」の典型例だった。発注側も受注側も専門性を前提に話が進み、立場が不当に低くなる場面がなかった。NDT検査の現場と同じ構造だったため、精神的な負担が少なかった。

家電修理との比較:なぜ「対等構造」が副業継続の条件になるのか

同時期に始めたPanasonic業務委託の家電修理は、半年で終了した。理由は次の4要素が重なったためだ。

  1. 対面作業:顧客の自宅に訪問し、故障した家電を目の前で修理する
  2. 故障対応:動かない・壊れたという負の状況からスタートする
  3. 立場が不当に低い:業務委託の構造上、クレーム対応や値引き交渉の負担が大きい
  4. 感情労働:顧客の不満・焦りに対応し続ける精神的コストが高い

これらは潜水士副業には存在しなかった要素だ。家電修理は「BtoC・不当構造・感情労働」が重なり、NDT検査現場で培った「対等な技術者としての立ち位置」とは異なる構造だった。

潜水士副業が続けられた(案件があれば再開したい)理由は、BtoBであること、専門性で対等な関係を維持できたこと、感情労働が少なかったことにある。副業を選ぶ基準として「BtoC/BtoB」の軸ではなく、「対等構造か不当扱い構造か」の軸が重要だと実感した。

副業を「対等構造」で選ぶ3つの基準

潜水士と家電修理の実体験から、副業を選ぶ基準を3つに整理した。

1. 専門性が前提の取引か

専門性が前提にあると、発注側と受注側の立場が対等になりやすい。潜水士免許を持つ者は少なく、水中作業の経験者はさらに少ない。この希少性が単価交渉や条件設定の主導権を維持する要因になった。

家電修理は「誰でもできる作業」と見なされやすく、業務委託の構造上も立場が低くなりがちだった。専門性の有無が関係性を決める。

2. 感情労働の比重が低いか

感情労働とは、顧客の感情に対応し続ける仕事のことだ。家電修理では故障という負の状況からスタートし、顧客の不満・焦りに常に向き合う必要があった。

潜水士副業は設備が相手であり、人間関係の調整や感情対応が発生しない。NDT検査現場と同じく、技術的な判断と作業に集中できる構造だった。

3. 不当扱いのリスクが低いか

業務委託や下請け構造では、クレーム対応・値引き要求・一方的な条件変更のリスクがある。家電修理では実際にこれらの場面に直面し、「技術者として対等に扱われていない」と感じる瞬間が多かった。

潜水士副業は施設管理会社との直接取引で、専門性を前提とした対等な関係が維持できた。不当扱いのリスクが低い構造を選ぶことが、副業の継続可能性を高める。

潜水士副業を再開しない理由:案件数と本業のバランス

潜水士副業は「対等構造」の理想形だったが、現在は継続していない。理由は案件数の少なさとNDT検査の繁忙期との両立困難さにある。

水族館のプール清掃は年数回程度の定期作業であり、安定収入にはならない。NDT検査の繁忙期(春3〜5月・秋9〜11月)と重なると、本業を優先せざるを得ない。副業として成立するには、案件数の安定性と本業とのスケジュール調整が必要だ。

ただし、「案件があれば再開したい」という意思は持っている。対等構造・専門性・感情労働の少なさという3条件が揃った副業は希少であり、チャンスがあれば積極的に受ける方針だ。

まとめ:副業は「対等構造」で選ぶ

潜水士免許を取得し、水族館のイルカプール清掃をBtoB案件として受けた実録を整理した。家電修理との比較から、副業を「対等構造」で選ぶ3つの基準が浮かび上がった。

  1. 専門性が前提の取引か
  2. 感情労働の比重が低いか
  3. 不当扱いのリスクが低いか

副業を選ぶ軸は「BtoC/BtoB」ではなく、「対等構造か不当扱い構造か」にある。専門性を前提とした対等な関係を維持できる副業が、長期的に続けられる副業だと実感している。

NDT検査現場で20年培った「技術者として対等に扱われる立ち位置」を、副業選定の基準として言語化できたことが、この実践の最大の学びだった。

関連記事

まとめて読む: 読んだ本の棚

← ブログ一覧へ戻る