UT Level 2の2次試験に向けて『LLMのプロンプトエンジニアリング』を読み直したら、検査報告書の記述設計が変わった話

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UT Level 2の2次試験対策で気づいた「報告書記述の再現性」問題

私はJSNDI UT Level 2の1次試験に合格し、現在2次試験の準備を進めている。2次試験では実技に加えて報告書の記述も評価されるため、「同じ検査結果を誰が書いても一貫性が保たれる記述」を設計する必要がある。

これまで20年のNDT検査キャリアの中で、報告書は「現場ごとの経験」で書いてきた。だが試験対策として過去の報告書を見返すと、同じ欠陥種別でも記述のブレが大きい。客先の様式・検査対象・報告タイミングで表現が変わり、「再現可能な型」として確立できていなかった。

この課題に向き合うタイミングで、以前読んだ『LLMのプロンプトエンジニアリング』(John Berryman, Albert Ziegler著・オライリー)を読み直した。GitHub Copilot設計者の本で、プロンプト設計の原則が整理されている。AI向けの設計論だが、「人間が書く報告書」にも応用できる示唆が詰まっていた。

「コンテキスト・スカフォールディング・テンプレート化」が検査報告書にも効く

本書が提示する3つの概念が、報告書の記述設計にそのまま当てはまった。

コンテキスト(文脈の明示)

AIに指示を出すとき、前提情報を明示しないと出力がブレる。これは報告書でも同じだ。

検査報告書では「検査対象・使用機器・検査規格・判定基準」が前提情報になる。私はこれまで、検査票の冒頭に簡易に記載する程度だった。だが試験では、読み手(試験官)がその現場を知らない前提で書く必要がある。

コンテキストを明示する記述例:

  • 検査対象:FCC装置リアクター胴部(材質SS400・厚み12mm)
  • 使用機器:超音波探傷器 ○○型(周波数5MHz・垂直探触子)
  • 適用規格:JIS Z 3060(鋼溶接部の超音波探傷試験方法)
  • 判定基準:社内規格○○(エコー高さ50%以上を要記録)

この4項目を冒頭で固定することで、欠陥記述の前提が揃う。試験対策としても、どの問題でもこの型で書けば文脈のブレが減る。

スカフォールディング(段階的な足場)

AIに複雑なタスクを一度に指示すると失敗しやすい。段階的に分解して指示する設計が「スカフォールディング」だ。

検査報告書でも、欠陥の記述を「検出→測定→評価→判定」の4段階に分解すると、抜け漏れが減る。

段階分解の記述例:

  1. 検出:探傷範囲○○mm²のうち、位置A(溶接線から+5mm)でエコーを検出
  2. 測定:エコー高さ80%(基準エコー比)、指示長さ15mm
  3. 評価:判定基準(50%以上)を超過、指示長さが許容値(10mm)を超過
  4. 判定:要補修(溶接部の融合不良の可能性)

この4ステップを守ることで、「検出したが測定していない」「評価したが判定を書いていない」といった記述の不足が防げる。試験でも、この型を機械的に適用すれば一定水準の報告書が書ける。

テンプレート化(再利用可能な型)

AI向けプロンプトは、汎用的な「型」として設計すると再利用できる。検査報告書も同じで、欠陥種別ごとにテンプレートを持つと記述が安定する。

私は以前、客先ごとに様式が違うため「テンプレート化は無理」と考えていた。だが本書の示唆を受けて、「様式は違っても記述の構造は共通化できる」と気づいた。

欠陥種別テンプレート例(融合不良):

  • 検出位置:溶接線から±○mm、深さ○mm
  • エコー特性:エコー高さ○%、指示長さ○mm、移動性(有/無)
  • 評価:判定基準との比較(超過/適合)
  • 判定:要補修/合格、推定原因(溶接条件・開先形状等)

この型を「融合不良」「ブローホール」「スラグ巻込み」ごとに用意しておけば、現場で空欄を埋めるだけで一貫性のある報告書が書ける。試験でも、欠陥種別を判断した後はテンプレートに沿って記述すればよい。

UT 2次試験対策として「型」を固める実践

試験まで数ヶ月の準備期間があるため、この3つの設計原則を実際の報告書に適用している。

具体的には、過去に書いた報告書(客先様式がバラバラ)から「コンテキスト・段階分解・テンプレート」の3要素を抽出し、試験用の統一フォーマットを作成した。これをA4用紙1枚にまとめ、試験会場に持ち込める参考資料として整備している(試験規定で持ち込み可の範囲内)。

また、自宅で過去問を解く際も、この型を機械的に適用する練習を繰り返している。最初は「型に当てはめる」だけで時間がかかったが、10問ほど解くと記述速度が上がり、抜け漏れも減った。

AI設計の本が「人間の記述設計」にも効く理由

『LLMのプロンプトエンジニアリング』はAI向けの設計論だが、「再現性のある出力を得る」という目的は検査報告書と同じだ。

AIは文脈が不足するとブレた出力を返す。人間も、前提情報が不足すると記述がブレる。AIは段階的な指示がないと複雑なタスクを失敗する。人間も、段階を省略すると抜け漏れが起きる。AIはテンプレートがあると安定する。人間も、型があると一貫性が保たれる。

この共通性に気づいたとき、「AI設計の原則は人間の記述設計にも転用できる」と確信した。実際、試験対策として型を固めた結果、報告書の記述速度が2倍ほど上がり、見直し時の修正箇所も減った。

まとめ:試験対策が実務の「報告書設計」を底上げする

UT Level 2の2次試験対策として『LLMのプロンプトエンジニアリング』を読み直したことで、検査報告書の記述設計が変わった。

「コンテキスト・スカフォールディング・テンプレート化」の3原則を適用することで、試験用の報告書が安定しただけでなく、実務での報告書の再現性も向上した。客先様式が違っても、記述の構造を統一しておけば、様式の違いに引きずられず一貫性のある報告書が書ける。

試験は「型を固める機会」として有効だ。合格後も、この設計原則を実務の報告書に適用し続ける。AI設計の本が検査報告書の設計に効くとは予想外だったが、「再現性のある出力」という共通目的があれば、分野を超えて応用できる。

関連書籍

LLMのプロンプトエンジニアリング

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GitHub Copilot設計者によるプロンプト設計の原則。コンテキスト・スカフォールディング・テンプレート化の概念が、AI以外の記述設計にも応用できる。

参考

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