38歳が『ひとり社長の経理の基本』を読んで株式会社US側の記帳・決算・役員報酬まわりを自分で俯瞰できるようになった3ステップ:税理士との対話密度を上げる下準備

法人側の経理を「わからないまま税理士に丸投げ」していた38歳の危機感

株式会社USを設立して2年目、個人事業USサービスとの併営構造で走ってきた。税理士顧問契約は結んでいるし、確定申告も決算も滞りなく終わる。だが正直に言えば、法人側の記帳・決算・役員報酬の仕組みを「自分の言葉で説明できる」状態ではなかった。

個人事業側は『フリーランス&個人事業主のための確定申告』で基礎を固めたが、法人はまた別の世界。税理士とのやりとりで「この仕訳で合ってますか?」「役員報酬の変更時期はいつでしたっけ?」と聞き返すたび、「このままでは税理士の言うことを鵜呑みにするだけの経営者になる」という危機感があった。

井ノ上陽一『ひとり社長の経理の基本』を手に取ったのは、この「俯瞰できない状態」から抜け出すためだった。

「集める→記録する→チェックする」3ステップで法人経理の全体像が見えた

本書の核心は「経理を複雑にしない」こと。ひとり社長がやるべきは税理士の仕事を奪うことではなく、自分で全体の流れを把握し、税理士に適切な質問ができる状態を作ることだ。

著者が提示する3ステップは以下。

1. 集める:証憑(しょうひょう)を確実に残す

レシート・請求書・契約書・通帳記録。これらを「集める仕組み」がないと、後から記帳するときに迷う。私は法人用のクラウド会計ソフトと紐付けた法人クレジットカードを使い、個人事業と法人の支出を物理的に分離した。

「このレシートはどっちの事業だっけ?」という迷いが消えただけで、記帳の精神的負荷が下がった。

2. 記録する:仕訳の意味を理解しながら入力する

「売掛金」「買掛金」「前受金」「未払金」。これらの科目を機械的に選ぶのではなく、なぜその科目なのかを理解しながら記録する。

本書では「現金が動いたタイミングと損益計上のタイミングがずれる取引」をどう扱うかが丁寧に解説されている。私は役員報酬の仕訳(「役員報酬/未払費用」→「未払費用/普通預金」)を理解したことで、月次試算表を見たときの「なぜこの数字?」が減った。

3. チェックする:月次試算表・キャッシュフロー・資金繰り表を自分で読む

税理士が作る月次試算表を「受け取るだけ」から「自分で読む」へ。特に重要なのは損益計算書(PL)だけでなく、キャッシュフロー計算書(CF)を見る習慣を持つこと。

私の場合、役員報酬を月額固定で設定しているため、PLは毎月ほぼ同じ数字が並ぶ。だがCFを見ると、売掛金の入金タイミングや設備投資の支出がくっきり見える。「黒字なのに現金が減っている」理由を自分で説明できるようになった。

税理士との対話密度が上がり、報酬交渉の土台ができた

この3ステップを実装して半年。税理士とのやりとりが変わった。

以前は「お任せします」「よくわからないので説明してください」だったのが、今は「この仕訳は前受金で処理したほうが良いですか?」「役員報酬を変更する場合、期首3ヶ月以内という制限以外に注意点はありますか?」と具体的な質問ができる。

税理士側も「この人は経理の基本を理解している」と判断したのか、説明が詳しくなった。結果として、顧問報酬の交渉時にも「どこまで自分でやるか、どこから税理士に頼むか」の線引きを明確にできた。

「税理士任せ」から「税理士と協働」へ。この変化は、法人経営の不安を減らす実感につながっている。

まとめ:法人経理を「自分で俯瞰できる」状態が併営の土台を固める

個人事業と法人の併営は、それぞれ別の経理ルールを理解する必要がある。だが「わからないから税理士に丸投げ」では、いつまでも不安が消えない。

『ひとり社長の経理の基本』が教えてくれたのは、税理士の仕事を奪うのではなく、自分で全体像を把握する力を持つことの重要性だった。

集める・記録する・チェックするの3ステップを実装し、税理士との対話密度を上げる。この地道な積み重ねが、法人経営の不安を減らし、次の意思決定(増資・M&A・事務所移転など)の土台を作る。

38歳で法人2年目。まだ経理の全てを理解したわけではないが、「自分の言葉で説明できる範囲」は確実に広がっている。

関連書籍

新版 ひとり社長の経理の基本

「集める→記録する→チェックする」3ステップで法人経理の全体像を俯瞰する方法がまとまっている。税理士との対話密度を上げたい併営事業者におすすめ。

参考

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