38歳が『DIE WITH ZERO』を読んで50歳FI計画に組み込んだ「使う設計」3つの実装:貯めるだけでは豊かにならない

『DIE WITH ZERO』が突きつけた「貯める設計」の盲点

50歳で年間配当200万円を達成する——私が掲げているFI目標は「資産を積み上げる設計」に特化していた。NISA・iDeCoの運用方針、インデックス投資の複利効果、配当再投資の自動化。すべて「増やす」ための仕組みだ。

ビル・パーキンス著『DIE WITH ZERO』を読んで気づいたのは、私の計画には「使う設計」が欠けていたという事実だ。本書の核心は「人生最後の瞬間に資産をゼロにする」ではなく、人生の各段階で最適な使い方をするという時間軸の設計論にある。

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著者は「記憶の配当」という概念を提示する。45歳の海外旅行と75歳の海外旅行は、同じ金額を使っても得られる経験価値が異なる。体力・好奇心・家族構成・健康状態——すべてが時間とともに変化する。だから「老後に備えて貯める」だけでは不十分で、今しかできない経験に適切に資産を投下する設計が必要になる。

私は50歳FI計画を「配当所得で生活費を賄う」という数字目標だけで組んでいた。この本を読んで、計画に「使う設計」の3つの視点を追加実装した。

実装1:子供との体験投資を最優先枠に設定

最初に実装したのは「子供との体験投資枠」の明確化だ。私には保育園児の子供がいる。パーキンスの言う「記憶の配当」が最も高いのは、子供が成長する今この瞬間だ。

具体的には、年間の支出計画に「子供との体験費用」を独立項目として設けた。キャンプ・水族館・博物館・旅行——これらは「贅沢費」ではなく「投資」として扱う。金額の目安は立てず、子供の成長段階と興味に応じて柔軟に使う方針に切り替えた。

『DIE WITH ZERO』には「子供が9歳になるまでに親と過ごす時間の75%が消費される」という調査が引用されている。裏を返せば、10歳以降は親と過ごす時間が急減する。だから「将来のために今我慢する」設計は、取り返しのつかない機会損失を生む。

この実装によって、繁忙期の案件を断る判断基準も変わった。子供の運動会・発表会と重なる案件は、単価が高くても受けない。50歳で配当所得が充実しても、子供が小学生の今は戻ってこない。

実装2:50歳以降の「使う目的」を言語化した

2つ目の実装は、50歳で年間配当200万円を達成した後の「使う目的」を具体的に言語化したことだ。以前の計画では「配当で生活費を賄う」という守りの設計だけで、攻めの使い方が不在だった。

パーキンスは「資産ピークを75〜85歳に置くのは遅すぎる」と指摘する。健康資産・時間資産・金融資産の3つは連動しており、金融資産だけが潤沢でも他の2つが枯渇していれば意味がない。だから「いつ・何に・どう使うか」の設計が必要になる。

私が言語化した50歳以降の使う目的は以下の3つだ。

  1. 体力があるうちの長期旅行:50〜60歳の間に家族で海外長期滞在を実施。子供が独立する前の最後の家族時間として設定
  2. 学び直しへの投資:専門外の分野(歴史・哲学・語学など)を学ぶ時間と費用を確保。配当所得があるからこそ収益に直結しない学びに時間を使える
  3. 次世代支援の仕組み化:経験・知識を若手に渡す場を作る。無償でもいい。社会接続の維持装置として機能させる

この言語化によって、50歳FI計画は「配当所得でリタイア」ではなく「配当所得を活用して次のステージに移行する」設計に変わった。

実装3:「経験の前借り」と「資産の後ろ倒し」のバランス調整

3つ目の実装は、パーキンスが提唱する「経験の前借り」を計画に組み込んだことだ。これは「老後の安心のために今を我慢する」設計を見直し、今しかできない経験に適切に資産を投下するという時間軸のバランス調整を指す。

具体的には、以下の2つの判断基準を設定した。

  • 今やらないと二度とできない経験:子供との時間・体力が必要な活動・時限性のあるイベント → 優先的に資産を投下
  • 後回しにしても問題ない支出:設備投資・耐久消費財・リフォーム → 配当所得が充実してから実施

このバランス調整で変わったのは、支出の時間配分だ。以前は「将来の安心」を理由にあらゆる支出を抑制していたが、今は「今しかできないこと」には躊躇なく資産を使う。代わりに、後回しにしても影響が小さい支出は先送りする。

パーキンスは「人生の終わりに最も後悔するのは、やらなかったこと」と書く。私は38歳で、50歳FI達成まで12年ある。この12年間を「ひたすら貯める期間」にするのではなく、「貯めながら適切に使う期間」として設計し直した。

「使う設計」がないFI計画は不完全だった

『DIE WITH ZERO』を読んで実装した3つの視点——子供との体験投資の優先、50歳以降の使う目的の言語化、経験の前借りと資産の後ろ倒しのバランス調整——は、私のFI計画を「資産を積み上げる設計」から「資産を適切に使う設計」へと拡張した。

50歳で年間配当200万円を達成しても、それは「ゴール」ではなく「使い方の自由を得る地点」に過ぎない。配当所得が充実した後に何をするか、どう使うか、誰のために時間を使うか——その設計がなければ、ただ資産を積み上げるだけの人生になる。

パーキンスの「ゼロで死ぬ」思想は、浪費を推奨するものではない。人生の各段階で最適な資産配分をする——それが本書の核心だ。私はこの視点を50歳FI計画に組み込むことで、「貯めるだけでは豊かにならない」という当たり前の事実に気づいた。

38歳の今、50歳までの12年間をどう設計するか。この問いに対する答えは、もう「ひたすら貯める」ではない。

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参考

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