マネーフォワードクラウドで個人事業と法人の「試算表→キャッシュフロー」を毎月見る習慣が、3財布の資金繰り設計を機能させた実話

会計ソフトを「記帳の道具」で終わらせない使い方

個人事業と法人を併営して3年目、私が毎月必ず開く画面がある。マネーフォワードクラウド会計の残高試算表だ。

「試算表なんて決算のときに見るもの」と思っていた時期もあった。だが実際に使い始めると、BS(貸借対照表)とPL(損益計算書)を並べて見るだけで、今月どれだけ現金が動いたかが見えてくる。利益が出ているのに口座残高が増えていない理由、売掛金の回収タイミング、借入返済の進捗——すべてこの2枚のシートから読み取れる。

会計ソフトは「記帳を楽にする道具」として語られることが多い。だが私にとっては、3つの財布(個人/個人事業/法人)の現金の流れを整理する場所として機能している。この習慣がどう作られ、何に効いているのかを実運用ベースで書く。

家計簿13年ユーザーが法人会計に移行した経緯

マネーフォワードとの付き合いは長い。2013年から家計簿版のマネーフォワードMEを使い続けている——サービス初期からの13年ユーザーだ。

法人成りを決めたとき、会計ソフトの選択に迷いはなかった。当時「マネーフォワード税理士」という制度があり、MF連携している税理士に依頼すれば、家計管理の延長線上で事業会計に入れると思った。実際、13年使い慣れた画面構成がそのまま使えたので、抵抗なく移行できた。

この「家計管理の延長」という感覚が重要だった。会計ソフトを「税理士に渡すデータを作る場所」としてではなく、自分が現金の流れを把握するための道具として使う前提が、家計簿時代に既にできていた。

試算表を「月次で見る」習慣の作り方

最初は税理士に言われて試算表を見ていた。決算前の数字確認、という程度の認識だ。

だが併営2年目に入り、個人事業の口座・法人の口座・個人の生活口座の3つを行ったり来たりする資金移動が増えてくると、「今どこにいくら現金があるのか」が分からなくなる瞬間が出てきた。売掛金の入金日、借入返済日、カード引落日がバラバラで、どの口座から引き落とされるかも異なる。

そのとき税理士から「試算表のBSを見れば現金の位置が分かりますよ」と言われ、実際に見てみた。すると、BS左側の「現金及び預金」の内訳に、口座ごとの残高が並んでいる。これを見るだけで、法人口座にいくら/個人事業口座にいくら/という分布が一目で分かる。

PLも同時に見ると、今月の売上・経費・利益が出る。利益が出ているのにBSの現金が減っているなら、借入返済や固定資産購入で出ていったということだ。逆に、赤字なのに現金が増えているなら、売掛金の回収や借入実行があったということになる。

このBS→PL→現金の動きという読み方を、月に1回やるようになった。税理士との月次面談前に自分で試算表を開き、「今月はどこから入ってどこへ出たか」を確認する。この習慣が、3財布の資金繰り設計を機能させている。

「入口をカードで分ける」運用との接続

試算表を見る習慣と並行して、支出の記帳精度を上げる工夫もしている。

個人と事業の区分はクレジットカードで分けている。個人の支出は三井住友カード(ゴールドNL)、個人事業の支出はセゾンプラチナビジネス。カードを選んだ時点で「これは事業経費」「これは個人消費」が確定するので、後から仕訳を迷わない。

マネーフォワードクラウド会計は、このカード連携が強い。毎日自動で明細を取り込み、勘定科目も学習してくれる。私がやるのは、取り込まれた明細を月に1回確認して、科目がずれているものだけ修正する程度だ。

この「入口で分ける→自動取込→月次で試算表を見る」という流れが、記帳の負担を最小化しつつ、現金の流れを把握する仕組みとして回っている。

試算表から「これから出ていく現金」を読む

もう一つ、試算表の使い方として重要なのが、未払金・買掛金・借入金の残高を見ることだ。

BSの右側(負債の部)には、「未払金」「短期借入金」「長期借入金」といった項目が並ぶ。これは「まだ払っていないが、これから出ていく現金」を示している。

例えば、未払金が増えていれば、カード引落や外注費の支払いが来月控えている。借入金の残高を見れば、毎月の返済額と残期間が逆算できる。この「これから出ていく現金」の見積もりが、資金繰りの前提になる。

私は毎月、試算表のBSを見ながら、3ヶ月先までの資金移動予定をスプレッドシートに書き出している。売掛金の入金予定、借入返済、税金の予定納税、カード引落——これらを時系列に並べると、「来月末に個人事業口座がマイナスになる」といった事態が事前に分かる。そうなる前に、法人口座から移すか、売掛金の回収を前倒しで依頼するか、という判断ができる。

この習慣は、マネーフォワードMEで家計のキャッシュフロー(収入-支出)を見ていた延長線上にある。家計簿では「今月あといくら使えるか」を見る。事業会計では「今月あといくら動かせるか」を見る。構造は同じだ。

不満点: 暗号資産連携の手薄さ

13年使っているからこそ言えるが、マネーフォワードにも限界はある。

私が一番不満なのは、暗号資産周りの連携が手薄なことだ。bitFlyerを使っているが、ME側での残高反映が遅れたり、取引履歴の取り込みが不安定だったりする。暗号資産を資産管理の一部に組み込んでいるユーザーにとっては、この部分の精度向上が待たれる。

また、PayPayが未連携なのも地味に不便だ。現金をなるべく使わない運用をしているので、PayPay支払いが増えると、ME上で「使途不明金」として扱われる。手動入力で補完しているが、自動連携してくれればもっと楽になる。

セキュリティ面では、当初はインターネットバンキングの情報を渡すことに不安があった。最近のGitHub関連のインシデント(※詳細は公式発表を参照)も認識している。それでも、あまりあるメリットがあり、これがないと管理できないと判断して使い続けている。

これから始める人へ: まず「支出の把握」から

「会計ソフトを導入しようか迷っている」という人には、こう言う。

まずはマネーフォワードMEで支出状況を把握してください。クレカと銀行の連携はMUSTです。使ってみると意外に浪費してます(笑)

家計簿で「自分が何にいくら使っているか」を可視化する習慣ができれば、事業会計への移行はスムーズだ。記帳を税理士に丸投げする前に、自分で試算表を見る習慣を作っておくと、経営判断の精度が上がる。

試算表は「決算のときに見るもの」ではない。毎月見て、現金の流れを読み取る道具だ。この使い方ができると、会計ソフトが「記帳の道具」から「資金繰りの設計図」に変わる。

参考

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