年商1,000万円を超えても、月初に口座が足りなくなった
事業を軌道に乗せ、年商が1,000万円を超えた。利益も出ている。それでも月初になると、特定の口座残高が足りなくなる月があった。
私は個人事業(USサービス)と法人(株式会社US)を併営している。NDT検査の現場仕事が主力で、稼働後に請求書を出し、入金は約70日後。一方で、事業用クレジットカードの引落は入金の6日前に来る。財布が個人事業と法人の2つに分かれているため、合計では足りても、引落元の口座が足りないという事態が起きた。
この記事では、黒字なのに現金が回らなくなる構造を可視化し、引落日と入金日のズレを埋めた実際の対処を書く。
利益と現金は別物——入金70日後・引落6日前の構造
NDT検査の業務フローは次のとおり。
- 現場で稼働(春・秋の定修シーズンが中心)
- 稼働後に請求書を発行
- 取引先の支払いサイトは60日〜70日後
一方、事業用のクレジットカード(セゾンプラチナビジネス・アメリカン・エキスプレス)は、締日の翌月4日に引き落とされる。大きな経費(出張の宿泊費・燃料費・工具購入)を立て替えるため、カード利用額は月50万円を超える月もある。
問題は、入金が引落の6日前に来ること。稼働が集中した月の翌々月は入金が厚いが、引落が先に来る。合計残高では足りても、引落元の口座(個人事業用の西兵庫信用金庫)が一時的に不足する構造だった。
引落と入金を日付順に並べた表で「一番少ない日」を可視化した
現金不足の構造を掴むために、次の表を作った。
| 日付 | 項目 | 金額 | 残高 |
|---|---|---|---|
| 5/4 | カード引落 | -52万円 | 8万円 |
| 5/10 | 取引先A入金 | +65万円 | 73万円 |
| 5/25 | 役員報酬 | -5万円 | 68万円 |
| 6/4 | カード引落 | -48万円 | 20万円 |
| 6/10 | 取引先B入金 | +70万円 | 90万円 |
この表で明らかになったのは、6月4日の引落後、残高が20万円まで下がるということ。マネーフォワード クラウド会計の試算表では利益が出ていても、引落元の口座の、一番少ない日を見ないと現金不足は見えない。
利益と現金は別物。この表を作って初めて、「黒字倒産」の構造を実感した。
手持ちの資産を売って、引落日までの不足を埋めた
6月4日の引落に備え、私は次の対処をとった。
- 手持ちの株式の一部を売却(楽天証券・SBI証券で保有していた個別株を約30万円分)
- 売却代金を事業用口座に振り込み、引落に備える
- 6月10日の入金後、売却分を買い戻す(実際には買い戻さず、NISA枠の積立に回した)
株式売却は本来、FI計画の資産を削る行為で避けたかった。しかし引落日に間に合わせることが最優先。カード引落の遅延は信用情報に影響するため、選択肢はなかった。
この経験で学んだのは、事業口座にカード1か月分の余裕を常に残すことの重要性。引落額の目安を月50万円とすると、事業口座には最低50万円を常駐させる設計が必要だった。
現金の流れを整理する実運用——引落元・入金先・振込日を固定する
現金不足を防ぐために、現在は次の運用に切り替えている。
① 事業用カードの引落元を1つに集約
個人事業用の経費は西兵庫信用金庫から引き落とす。法人用は別のカードを使い、引落元も分ける。財布が2つあっても、引落元を固定すれば「どの口座がいくら必要か」が明確になる。
② 入金先を事業口座に統一し、即座に振り分ける
取引先からの入金は、事業用口座(西兵庫信金・GMOあおぞらネット銀行)に集約。入金後、次の順で振り分ける。
- カード引落分(50万円程度)を事業口座に残す
- 税金・社会保険料の積立分を別口座に移す
- 余剰分を個人口座に移す(生活費+NISA/iDeCo原資)
この順序で振り分けることで、引落元の口座が空になるリスクを防いでいる。
③ 引落日と入金日を日付順に並べた表を毎月更新
引落日・入金日・振込予定日を日付順に並べた表を、Googleスプレッドシートで管理している。月初にこの表を見て、一番少ない日の残高を確認する習慣をつけた。
マネーフォワード クラウド会計の試算表(BS/PL)は月次の全体像を見るのに使い、日次の現金の動きは別の表で追う。この使い分けが、3財布(個人・個人事業・法人)の資金繰りを機能させる実運用になっている。
まとめ——見るべきは合計残高でなく「引落元の、一番少ない日」
年商1,000万円を超えても、入金70日後・引落6日前の構造がある限り、現金不足は起きる。利益と現金は別物で、引落元の口座の、一番少ない日を見ないと黒字倒産の構造は見えない。
私が実際にとった対処は次の3つ。
- 引落と入金を日付順に並べた表を作り、残高が一番少ない日を可視化
- 手持ちの株式を売却し、引落日までの不足を埋めた
- 事業口座にカード1か月分(月50万円程度)を常駐させる運用に切り替え
この経験で、現金の流れを整理する実運用の重要性を実感した。マネーフォワード クラウド会計の試算表は月次の全体像、日次の現金の動きは引落日カレンダーで追う。この使い分けが、個人事業と法人を併営する私の資金繰り設計を支えている。
一人親方・法人成りしたばかりの個人事業主にとって、「引落元の、一番少ない日」を可視化することは、黒字倒産を防ぐ最初の一手になる。
参考
- 日本政策金融公庫「創業の手引き」 https://www.jfc.go.jp/
- freee「黒字倒産とは」 https://www.freee.co.jp/
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