なぜ3年目で交渉したのか
私は個人事業(USサービス)と法人(株式会社US)を併営している。税理士との顧問契約は法人設立時から継続しており、当初は「相場が分からない」という理由で提示された報酬をそのまま受け入れていた。
3年目に入って初めて報酬の見直し交渉をしたのは、次の3つの変化があったからだ。
- 他の事業者の報酬水準が見えてきた:同業者や異業種の一人法人経営者との会話で「うちはこれくらい」という実例が蓄積された
- 自分の記帳精度が上がった:マネーフォワード クラウドを使い倒して記帳・仕訳の大半を自分で完結できるようになり、税理士に依頼する作業範囲が明確化された
- 固定費全体を見直す必要性が出てきた:法人口座・社会保険料・事務所リフォーム費用など、他の固定費が増えたタイミングで「削れるものは削る」意識が強まった
創業直後は「とにかく専門家に頼る」モードだったが、3年経つと自分の事業規模と作業範囲が見えてくる。そのタイミングで報酬の妥当性を検証するのは自然な流れだった。
交渉の進め方——相場と作業範囲を整理してから話す
交渉前にやったのは次の3点。
- 他の税理士の報酬表を調べる:ウェブサイトや知人経由で、一人法人+個人事業併営のケースでの相場を3〜5件確認した
- 現在の依頼範囲を洗い出す:記帳代行はほぼ不要、決算・申告・年末調整・消費税申告が主な依頼内容であることを明文化した
- 削減希望額を明確にする:「月額◯万円台に抑えたい」という具体的なラインを持って臨んだ
交渉自体は対面で、次の構成で話した。
- 「現在の報酬に不満があるわけではなく、事業規模と作業範囲の変化を踏まえて見直したい」
- 「他の同規模事業者の相場と比較して、もう少し抑えられるのではないか」
- 「記帳は自分でほぼ完結しているため、依頼範囲は決算・申告に絞られている」
結果として月額報酬が一定額下がり、年間では数万円台の削減になった。金額自体は大きくないが、「固定費を自分で検証して交渉できた」という経験が次に繋がる。
交渉後に分かった「税理士報酬の構造」
交渉を通して見えたのは、税理士報酬が次の3要素で決まるという構造だ。
- 記帳代行の有無:自分で記帳を完結できるなら、報酬は大きく下がる余地がある
- 法人・個人事業の併営:2エンティティ分の申告作業があるため、単体より報酬は上がる(ただし2倍にはならない)
- 消費税申告の有無:インボイス登録後は消費税申告が加わり、作業量が増える
私の場合、記帳は自分でやり、消費税申告は発生しているが法人・個人事業の規模は小さい。この条件で「月額◯万円台」が妥当かどうかは、他の事例と比較して初めて判断できた。
交渉前は「税理士報酬は動かせないもの」と思い込んでいたが、実際には作業範囲と相場を整理すれば交渉の余地がある。ただし「安ければいい」わけではなく、信頼関係と作業品質が前提にある。
固定費の見直しは「相場を知る時間」が必要
今回の交渉で実感したのは、固定費の見直しには「相場を知るための時間」が必要だということだ。
創業直後は判断材料が少なく、提示された金額を受け入れるしかない。しかし2〜3年経つと、同業者の事例・自分の作業範囲・事業規模の変化が見えてくる。そのタイミングで「本当にこの金額が妥当か」を検証するのは、経営者として当然の行動だと思う。
私の場合、税理士報酬以外にも次の固定費を定期的に見直している。
- 法人口座の維持費:ネット銀行と信金の使い分けで手数料を抑える
- 社会保険料:役員報酬を月5万円に設定することで最低等級を維持
- 借入返済:3系統(公庫・信金・ろうきん)の返済計画を見直し、繰上返済の優先順位を決める
固定費は「一度決めたら終わり」ではなく、事業の成長に応じて見直すべき対象だ。そのためには相場を知り、作業範囲を明確にし、交渉する勇気を持つことが必要になる。
まとめ
税理士報酬の交渉を3年目で実施した理由は、相場感が掴めたタイミングだったからだ。交渉の結果、年間数万円台の削減になったが、金額以上に「固定費を自分で検証できた」経験が次に繋がる。
固定費の見直しは、創業直後ではなく2〜3年経ってから本格化する。相場を知り、作業範囲を整理し、信頼関係を保ちながら交渉する——この流れを一度経験すると、他の固定費にも応用できる。
一人法人+個人事業を併営している経営者にとって、税理士報酬は「動かせないもの」ではない。自分の事業規模と作業範囲を見極め、適正な報酬水準を探る行動は、経営の基礎体力になる。
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